許可申請小ネタ

建設業許可、専任技術者の常勤性が証明できない

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常勤性の証明は困難

 

今回、許可を取る前からやっぱりちゃんとしておくべきところはしておいた方がいいなあと思う案件に当たりました。

 

建設業の新規許可を取得する際に大きな要件となる①経営業務の管理責任者と②専任技術者の2つですが、ここを満たすためにはいくつかのポイントがあります。

 

将来的なこと、つまり許可を取ろうと思った時に何とかなることもあれば、これまできちんと社会保険に入っていたか、もしくは給与などの処理を適正にしていたかなど、過去の事情に大きく左右されることもあります。

 

さて今回、ご相談にこられた建設業許可希望の方は、現在ご自身を代表取締役として建設業を営んでいらっしゃる他、過去に10年ほど違う建設業者(仮にA社とします)で取締役を務めていらっしゃいました

 

さらに、A社は運よく建設業の許可も持っている会社だったので、無許可業者に勤めていたケースと比べて、必要書類(工事関係の請書や請求書、入金データなど)が格段に少なくできます。

 

ここまでで、基本的には大きな要件のうちの一つ、「経営業務の管理責任者」についてはクリアできる見込みです。

 

しかしもう一つの「専任技術者」においては、必要な国家資格も学歴もお持ちの方がいらっしゃらないため、「10年以上の実務経験」でやるしかない状況なんですね。

 

しかし、先ほど書いた通り、前に役員として勤めていたA社は許可を持っていた。しかも、役員としては10年程度ですが、従業員時代も含めると15年程度の経験があることになります。

これは許可取れるだろうな、と頭をかすめたのですが、何と、ひとつ落とし穴がありました。

 

このA社、実は社会保険に入っていなかったのです。

 

本来、このケースではA社の建設業許可申請書の写しと、当時A社の社会保険に従業員又は役員として入っていたということを証明できる「被保険者記録照会回答票」を取り寄せれば、簡単に専任技術者として申請ができるはずなのですが、A社が社会保険に加入していなかったため、この方法が採れません。

まあ、このあたりまではたまにあることです。

要は、A社に常勤していたことが証明できればいい(被保険者記録照会回答票を取り寄せるのは、その常勤の証明のためです)のですから、A社から役員報酬が支払われている期間はその明細、源泉徴収されていれば源泉徴収票の写しなど、他にも証明の方法はあります。

・・・あるはずでした・・・・。

 

ここでもう一つの落とし穴。

 

何とですね、登記上は役員になっていたのに、決算書などで役員報酬が支払われているような記載がなく、源泉徴収もされていなかったのです。

源泉徴収を会社からされていなかったらいなかったで、個人として確定申告をやっていればよかったのですが、それもやっていない、つまりは、「A社に本当に勤めていた」ということを証明する書類が一切ないということです。

 

かろうじてあったのは、当時の給与明細(10年分以上)です。

 

ただ、これについては東京都庁に足を運んで確認したところ、最終的には「給与明細をもって常勤を認めるためには、給与明細に記載された金額(本人だけでなく全従業員分)と、会社の決算報告書に載っている【給与支払】の額が一致している必要がある」という結論でした。

A社では役員報酬の他、給与に関する帳簿も曖昧だったため、一致する可能性はゼロです。

 

以前はこういうケースでも、給与明細をもって常勤性を認めていたことがあったらしいのですが、ある時、その手の書類を偽造して申請したという不届きものがいて、それ以来厳しくしたとのことです。

 

総じて、今回、常勤の証明ができず、10年以上の実務経験では申請不可、一旦仕切り直して必要な資格を今後取っていただくことにしました。

 

このように、社会保険にも加入していない、さらに給与関係も曖昧にしている場合、建設業の許可申請は必要な資格を持っている人がいない限り絶望的となります。

 

建設業の許可を取ろうと思っている方はもちろん、自分の会社で頑張ってくれている役員、従業員がいずれ独立し、彼らが許可を取ろうと思った時に悔しい思いをさせないようにも社会保険にはきちんと加入し、労務関係や経理関係もきちんとしておきましょう。







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